【 研究情報 】5-デアザフラビン(TND1128) およびそのハイブリッドアナログは、過酸化水素(H₂O₂)による酸化ストレスに対して保護作用を示す

研究情報

・要約
体内において活性酸素種(ROS)の過剰産生などによる酸化ストレスはミトコンドリア機能不全を引き起こし、多くの神経変性疾患の発症に関与している。今日では神経変性疾患に対する新たな治療アプローチとして、機能不全に陥ったミトコンドリアを活性化することに注目が集まっている。TND1128をはじめとする5-デアザフラビン類は、β-ニコチンアミドモノヌクレオチド(β-NMN)などと同じく酸化還元作用を示し、ミトコンドリアにおけるエネルギー産生の活性因子であるとされている。本研究では、TND1128およびその類縁化合物が、酸化ストレスにより引き起こされる細胞障害に対して保護効果を示す可能性について検証を行った。その結果、これらの化合物は正常細胞の増殖を促進するだけでなく、過酸化水素(H₂O₂)が引き起こす酸化ストレスによる細胞死を有意に抑制した。つまり本研究において5-デアザフラビン類及び類縁化合物はミトコンドリアを活性化することで優れた細胞保護効果をもたらすことが示されている。本研究の結果、TND1128およびその類縁化合物は、老化や疾患に伴う神経細胞の変性を改善するミトコンドリア賦活薬としての可能性が示唆されている。

論文URL
https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2024.05.07.592882v1.abstract

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